溺愛CEOといきなり新婚生活!?
デスクに広げた資料と、二台もあるデスクトップPC、傍らで光っている携帯の画面と、耳に当てて話している携帯……。
見るからに忙しそうで気が引ける。こんな多忙な日は、私のことなんて放っておいてくれてよかったのにな。
「――わかった。あとは海外チームからの報告を待ちます。今後も進捗を都度教えてください。次回の会議は……そうですね、ではそのように頼みます」
通話を終えた彼はすかさず資料に赤ペンを走らせ、PCで作業を済ませると、背もたれに大きく寄りかかった。
「花澄」
「っ……はい!?」
突然名前を呼び捨てられて、思わず返事をしてしまった。
「って、今日から呼ぶから」
「……どうぞ」
姿勢を戻した彼は、私を手招きして呼び寄せる。私はほんの少しだけ間をおいてから歩みを進め、社長の貫禄を感じる広いデスクの向かい側に立った。