溺愛CEOといきなり新婚生活!?
帰宅すると、永井さんはいつもと変わらぬ様子で寛いでいる。
ここで過ごしている限りでは、大企業のCEOがどれほど多忙なのかを想像するだけに留まっていたけれど、その一端を見たら、目まぐるしい日々を送っているのだろうと想像がついた。
「本当にいつも忙しくされているのに、こうして私と過ごす時間を考えていてくださるのは、とても嬉しいです」
軽く食べられるものをキッチンで作りながら話しかけると、彼は途端に表情を思い切り崩して微笑み、ソファから腰を上げた。
「きゃっ!!」
キッチンにやってきた彼に引き寄せられた身体は隙間なく包み込まれ、驚きで跳ね上がった鼓動が伝わってしまいそうだ。
俯くと、視界の端に雅哉さんがくれたネックレスが揺れている。だけど今、私は永井さんの腕に包まれていて……。
「昨日、楽しかったみたいでよかった。小泉先輩のことだから、きっと素敵な夜を過ごしたんだろうね」
「……はい」
「心の底から羨ましいよ」
どちらからともなく身体を離し、視線を合わせるだけの距離を保つと、永井さんの切なげな表情を見てしまった。