溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 帰宅して、キッチンに並んで立つ。スーパーで決めたメニューは冷製パスタだ。蒸し暑い昼間に食べるにはちょうどいい。
 私が包丁を持ってトマトを切っていると、隣で永井さんがソースを作り始めた。バジルを細かく刻み、調味料を目分量で合わせている姿はまるでシェフのよう。


「日頃、料理するんですか?」
「起業する前、料理人になりたいと思ってたんだ」
「そうなんですか!?」

 道理で様になるわけだ……まさか本当に目指していたなんて思わなかったけど。


「一応、料理学校にも通ったりしたんだよ」
「本格的に目指してたんですね」

 学校にまで通ったのに、どうしてシェフじゃなくて社長になったんだろう。
 疑問に思い、サラダ用に千切っていたサニーレタスを持ったまま隣の彼を見上げた。


「あははは。本当に花澄って純粋っていうか、人を疑わないというか」
「え?」
「今の、全部冗談だよ。料理人になりたいと思ったことも学校に入ったこともない」

 危うく信じてしまうところだった……。ムッとした視線を向ければ屈託のない笑顔が返された。


< 93 / 378 >

この作品をシェア

pagetop