溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 想像がついた私は、思わず半身ほど距離を置いて座りなおした。
 だって、知り合ったばかりなのに抱きしめたり、社長室で抱っこしてきたり……。雅哉さんがいると知っても、少しも揺らがずに構ってくるのは、サンプリングマリッジの環境を利用したナンパだったりして!?


「今になって、襲ったりしないから警戒しないで。先輩の彼女を預かってるわけだし」
「……本当に?」

 頷いて答えた彼を見て、警戒心を解く。距離はそのままに、再びスクリーンへ視線を向けた。


「俺は、今までの彼女を愛しいと思ったことがないんだ。失って気づくとか言うけど、別れるころにはもう完全に冷めててね」
「そうなんですか……好きになって付き合うのに、切ないですね」
「一人だけ、上手く愛せなかった彼女がいるけど……それくらいかな。まともな恋って言ったら」

 話しながらも、映画を観ている永井さんの横顔は懐かしんでいるように見えた。


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