寵姫志願!? ワケあって腹黒皇子に買われたら、溺愛されました
「私はまだ十八歳だもの。まだもう少し成長するかも。それにね、マイアは本当に気が弱いのよ。娼館の主人にいびられたりしたら自殺しちゃうかも……。そうなったらあなたも困るでしょ? その点、私はお買い得よ。美貌だけじゃなくて愛嬌もあるから、娼館でもすぐに一番人気になると思うわ。ゆくゆくは大金持ちに身請けされる予定だから、そうしたらあなたにもいくらか恵んであげる! どう? 私を買ってみたくならない?」

「あのなぁ……世の中そんなに甘くないよ、お嬢ちゃん。奴隷の人生なんて悲惨そのものだ。運よく成り上がれる女なんて千人にひとりくらいのもんだぞ」
ナキは苦笑しながら言ったが、リディアを見据える黒い瞳はちっとも笑っていなかった。
リディアは少しも怯むことなくナキを見返す。
「だから、そんなことは百も承知よ。それでも私は千人にひとりの女になるって言ってるの」
背の高いナキがリディアに近づき、細い顎を持ち上げた。睨み合うふたり。どちらも目を逸らさない。根負けしたのはナキのほうだった。

「いい目をしてるな。仕方ない、まけてやるか! 姉と同じ値段で買ってやる」
「ありがとう!! そんな怖い顔して意外といい人ね、あなた」
「怖い顔は余計だ……まぁ、根性がありそうなのは認めてやる。せいぜい成り上がれるようにがんばるんだな」
「もちろんよ! あなたもいい買い手がつくように協力してよね」
「ちゃっかりしてんな」
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