寵姫志願!? ワケあって腹黒皇子に買われたら、溺愛されました
ナキはまるで荷物を担ぐようにリディアを抱き上げると、肩にのせて歩きだした。
「リディア、リディア……」
マイアも、父親も母親も、悲痛な面持ちで遠ざかっていくリディアを見つめている。まだなにもわかっていない幼い妹、リンネだけがにこにこと笑っていた。
リディアはナキに担がれた状態のまま、愛する家族に大きく手を振った。
「心配しないで! いつかお金持ちになって帰ってくるから。楽しみに待っててね」
その約束を果たすためには数多の試練を乗り越えなくてはならない。さらにはナキの言う通り、幸運にも恵まれなくてはならないだろう。
だけど、必ず成し遂げてみせる。リディアは故郷の寒々しい灰色の空にそう誓った。
「おいっ、起きろ。着いたぞ」
うつらうつらと浅い眠りを繰り返していたリディアは、ナキに大きく肩を揺さぶられ目を覚ました。
村を出て、家畜を運ぶような粗末な荷馬車に乗せられはや数日。居心地がいいとは到底言えないが、リディアはすぐに慣れた。
いつの間にか荷馬車はラビの領内を出てローザンの領土に入っていたようだ。途中でリディアと同じような年頃の少女が何人か乗り込んできたが、みな怯えた表情をしており、ここに来るまでにたいした会話はできていない。
「ぐうぐう眠りこけてるのなんて、お前だけだぞ。図太い神経してるよ」
あきれた顔を隠さないナキにリディアは飄々と言い返す。
「睡眠はしっかり取らないとお肌にハリがなくなっちゃうもの。高く買ってもらうには大事なことでしょ?」
「……その図太さをほかの娘たちにも分けてやれよ」
「リディア、リディア……」
マイアも、父親も母親も、悲痛な面持ちで遠ざかっていくリディアを見つめている。まだなにもわかっていない幼い妹、リンネだけがにこにこと笑っていた。
リディアはナキに担がれた状態のまま、愛する家族に大きく手を振った。
「心配しないで! いつかお金持ちになって帰ってくるから。楽しみに待っててね」
その約束を果たすためには数多の試練を乗り越えなくてはならない。さらにはナキの言う通り、幸運にも恵まれなくてはならないだろう。
だけど、必ず成し遂げてみせる。リディアは故郷の寒々しい灰色の空にそう誓った。
「おいっ、起きろ。着いたぞ」
うつらうつらと浅い眠りを繰り返していたリディアは、ナキに大きく肩を揺さぶられ目を覚ました。
村を出て、家畜を運ぶような粗末な荷馬車に乗せられはや数日。居心地がいいとは到底言えないが、リディアはすぐに慣れた。
いつの間にか荷馬車はラビの領内を出てローザンの領土に入っていたようだ。途中でリディアと同じような年頃の少女が何人か乗り込んできたが、みな怯えた表情をしており、ここに来るまでにたいした会話はできていない。
「ぐうぐう眠りこけてるのなんて、お前だけだぞ。図太い神経してるよ」
あきれた顔を隠さないナキにリディアは飄々と言い返す。
「睡眠はしっかり取らないとお肌にハリがなくなっちゃうもの。高く買ってもらうには大事なことでしょ?」
「……その図太さをほかの娘たちにも分けてやれよ」