寵姫志願!? ワケあって腹黒皇子に買われたら、溺愛されました
「じゃあ、とりあえずはここでいい買い手が見つかるように、お互いがんばりましょ」
イザベラはひらひらと手を振って去っていった。と同時に、奴隷市の開催を知らせる鐘の音が響いた。
(イザベラは貴族か高位な軍人って言ってたわよね。ここにそんな人はいるのかしら? どうか、私を買ってください!)
しかし、リディアの願いも虚しく、主人となったのはこのハクゥの街で大きな娼館を経営するカヤという男だった。
「なんだよ、その不満気な顔は」
カヤから代金を受け取ったナキがリディアのもとへやって来て、リディアの頭をポンと叩いた。
「だって、私は帝都に行きたかったんだもの。娼館に売られるのは全然かまわないけれど、帝都の娼館がよかったわ」
「贅沢言うな。カヤの娼館はいわゆる高級娼館で、金払いのいい上客ばかりだ。今日の買い手の中じゃ大あたりだぞ」
「けど……」
「どうしても帝都に行きたけりゃ、死ぬ気で働いて売れっ子になって帝都に屋敷を持つ金持ちに身請けしてもらうんだな。――その覚悟で、来てるんだろ?」
ナキの厳しい言葉で、リディアはようやく前を向いた。
「そうね。決まったことを嘆いても仕方ないわ。この街でチャンスを待つことにする」
「まぁ、せいぜいがんばれや」
「ありがとう、ナキ。お金持ちになったら、必ずあなたにもお返しするからね!」
「売り飛ばした女に礼を言われたのは初めてだな……。じゃあな、リディア」
ナキはくるりと踵を返すと、振り返らずに手を振った。リディアはナキの背中が小さくなるまで見送ると、新しい主人であるカヤのもとに歩きだした。
イザベラはひらひらと手を振って去っていった。と同時に、奴隷市の開催を知らせる鐘の音が響いた。
(イザベラは貴族か高位な軍人って言ってたわよね。ここにそんな人はいるのかしら? どうか、私を買ってください!)
しかし、リディアの願いも虚しく、主人となったのはこのハクゥの街で大きな娼館を経営するカヤという男だった。
「なんだよ、その不満気な顔は」
カヤから代金を受け取ったナキがリディアのもとへやって来て、リディアの頭をポンと叩いた。
「だって、私は帝都に行きたかったんだもの。娼館に売られるのは全然かまわないけれど、帝都の娼館がよかったわ」
「贅沢言うな。カヤの娼館はいわゆる高級娼館で、金払いのいい上客ばかりだ。今日の買い手の中じゃ大あたりだぞ」
「けど……」
「どうしても帝都に行きたけりゃ、死ぬ気で働いて売れっ子になって帝都に屋敷を持つ金持ちに身請けしてもらうんだな。――その覚悟で、来てるんだろ?」
ナキの厳しい言葉で、リディアはようやく前を向いた。
「そうね。決まったことを嘆いても仕方ないわ。この街でチャンスを待つことにする」
「まぁ、せいぜいがんばれや」
「ありがとう、ナキ。お金持ちになったら、必ずあなたにもお返しするからね!」
「売り飛ばした女に礼を言われたのは初めてだな……。じゃあな、リディア」
ナキはくるりと踵を返すと、振り返らずに手を振った。リディアはナキの背中が小さくなるまで見送ると、新しい主人であるカヤのもとに歩きだした。