寵姫志願!? ワケあって腹黒皇子に買われたら、溺愛されました
リディアの両親が「縁談はしばらく保留に」と村のみんなに伝えてから、数日後のことだった。
リディアは父の畑から夕食に使う野菜を採り、家へ帰ろうとしていた。畑から家へは近道となる林の中の小道があった。薄暗く不気味だからとマイアは嫌がるが、リディアは気にもとめずいつもその道を利用している。
もう少しで林を抜けるというところで、リディアは誰かにうしろから羽交い締めにされ、林の中へと引きずり込まれた。どさりとリディアの体は乱暴に地面に投げつけられる。痛めた肩をかばいながら顔を上げたリディアの前に立っていたのはカイネだった。
「いきなり、なにするのよっ」
「なんで縁談を断るんだよ。俺のどこが気に食わないんだ?」
カイネは長身で引き締まった体つきをしている。顔立ちも悪くない。すかした感じで性格の悪さが滲み出ている……とリディアは思うが、顔だけはかっこいいという意見も多数あった。
「どこがって……だって、あなたのこと好きじゃないもの。トマトが好きじゃないのに理由はないでしょ。それと同じよ」
リディアはあっけらかんと言い放った。本当は理由などいくらでもあげられるが、カイネとそんな議論をするのも嫌だった。
リディアは父の畑から夕食に使う野菜を採り、家へ帰ろうとしていた。畑から家へは近道となる林の中の小道があった。薄暗く不気味だからとマイアは嫌がるが、リディアは気にもとめずいつもその道を利用している。
もう少しで林を抜けるというところで、リディアは誰かにうしろから羽交い締めにされ、林の中へと引きずり込まれた。どさりとリディアの体は乱暴に地面に投げつけられる。痛めた肩をかばいながら顔を上げたリディアの前に立っていたのはカイネだった。
「いきなり、なにするのよっ」
「なんで縁談を断るんだよ。俺のどこが気に食わないんだ?」
カイネは長身で引き締まった体つきをしている。顔立ちも悪くない。すかした感じで性格の悪さが滲み出ている……とリディアは思うが、顔だけはかっこいいという意見も多数あった。
「どこがって……だって、あなたのこと好きじゃないもの。トマトが好きじゃないのに理由はないでしょ。それと同じよ」
リディアはあっけらかんと言い放った。本当は理由などいくらでもあげられるが、カイネとそんな議論をするのも嫌だった。