一夜の。


相手の男が今野だったから今回は良かったけど


酔っ払ったふりをして女の部屋に上り込むやつだっているんだから。


有馬ちゃんの親切心だったのは分かるから
今日はこれ以上は言わないけど。



今野を送って

2人っきりの車の中で 有馬ちゃんは俺の手を握った。


「なに?どうかした?」


「いえ 社長は前を向いててください。」


俺は 車を進めながら
でも自然と有馬ちゃんの触れる左手に神経が集中する。



しばらくすると 有馬ちゃんは
ポイっと左手を離した。

そこで赤信号にかかり 有馬ちゃんを見る。


「珍しいね。有馬ちゃんから俺に甘えてくるなんて。」



「甘えてなんていません。これはお礼です。」


俺の手にはいつの間にか 黒の腕時計がはめられていた。


「これ!?!」


俺が出張中 無くした時計と同じデザイン!



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