一夜の。
青になった信号を進む。
ここを右に曲がれば 有馬ちゃんの家。
「え?過ぎちゃいましたよ?」
もちろん。帰す気なんてないよ。
「今日は俺ん家泊まってよ。渡したいモノあるって言ったじゃん。」
渡したくても 渡せなかった。
アレを今日。
「ミク。」
部屋に入って 名前を呼ぶ。もちろん下の名前で。
俺は手を広げて ミクが手の中に飛び込んでくるのを待つ。
ミクは振り返った瞬間 嬉しそうに目を輝かせて 俺の腕にダイブする。
「社長。好きです。大好きです。」
有馬ちゃんの表情は見えない。
俺の胸に顔を埋めているから。
でも俺の心は満たされる。
充分すぎるほどに。
「社長。」
ミクは そのまま顔を上げた。
腰を抱き寄せながら 顔を上げると
俺とミクとの距離はわずか3センチ。
「キスしてもいいですか?」
珍しい。ミクが自ら甘えるなんて。
嬉しくて飛び跳ねてしまいそうだが
今は抑えて 目を瞑った。
「ん。」
そしてしばらくすると とても優しいキスが降りてきた。