一夜の。


女癖の悪かった俺だけど


ミクにだけは緊張して いつもの余裕が無くなる。


「___…なんか。焦ってます?」


唇が離れた時 ミクは俺に問いかけた。


「緊張してんだよ。初めてだから。」


こんなに緊張するのは最初で最期。

こんなのキャラに合わないのは自分でもわかってる。


俺はポケットに手を入れて。


アレを出す。


「初めてついでに、コレ。時計のお返し。」


なんて言ったって 2週間前 出張先で買ったものだけど。


ずっと渡せなかった。それは


「ぅそ。指輪。」


ミクは涙を一筋流していた。


でも本人は自分が泣いてるのにも気づいていない様子。


「嬉しいです。すごい素敵です。ありがとうございます。」


「じゃぁ何で泣いてるの?ミク。」


こんなに喜んでもらえるとは思わなかった。


「想いが伝わってくるんです。この指輪から。私の事を考えながら 選んでくれた。

それが凄い嬉しいんです。」


俺はミクを無言で抱きしめた。


押しつぶしてしまいそうなくらい、彼女が愛おしい。


好きだ。ミク。


ミクがまた俺の手に戻ってきてくれたこと。

それが今やっと実感できた。



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