一夜の。


そんなムードをぶち壊したのは


グ〜〜。


俺のお腹の虫だった。


ミクは俺の腕の中で 肩を揺らして笑い始めた。


「カッコつかないじゃん。恥ずかしいなぁ。」



まぁミクの笑った顔が見えるだけで嬉しいけどね。


「軽くご飯つくりましょうか?」


「いや冷蔵庫なにもないから。

かわりに今日は甘い甘いデサートがあるし。」


同時にミクを押し倒す。


ミクは驚いた表情を一瞬見せたが


俺と目が合うとニヒッと笑みを見せた。


やば。可愛すぎるでしょ。

会社の時とのギャップに完全にやられてしまった。


「ミク。」


俺が呼ぶと

「な〜に?ユウ。」


ミクの方からギュと顔を近づけて

俺を試すかのように笑う。


彼女が俺の名前を呼んだのは2回目。


「社長って呼ばれるのも萌えるけど

名前で呼ばれるのは最高だね。もっと呼んで。」


俺はさらに顔を近づけて 目を見つめながら言った。



「キスしてくれたら。言いますよ。」


そんなのいくらでもしてやるよ。


でも……

チュッと軽く触れるだけのキス。



「ぇ。」


案の定ミクは少し寂しそうな顔をする。


「ほら。キスしたよ。」


「……。」



ミクは唇を噛んで何か言いたげな表情。

あぁ。可愛い。

でもまだ優しくしてやんない。


「あれ?俺の名前忘れちゃった?」


「もっとして。ユウ。」






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