カノジョの彼の、冷めたキス


「お前、ふざけんな。人の話もまともに聞けねーの?」

これ以上にないくらいの怒気を含んだ目で渡瀬くんに上から睨まれて、ようやく後ろのデスクに押し倒されたんだと自覚する。

渡瀬くんの迫力にただ圧倒されて瞬きを繰り返していると、彼がデスクに押し付けたあたしの両手首を痛いくらいに強くつかんだ。


「やっぱりあのとき、どんなに嫌がられようが泣きわめかれようが、無理やりにでもヤッて俺のものにしときゃよかった」

「え?」

ひとりごとみたいにつぶやかれた渡瀬くんの言葉と襲ってきた衝撃に眉根を寄せる。

だけど深く考える猶予を与えられぬままに、低く態勢を落とした渡瀬くんが容赦のない力であたしの唇に噛み付いてきた。

唇を強引に割って差し込まれた舌が、あたしの口内をめちゃくちゃに蠢く。


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