カノジョの彼の、冷めたキス


オフィスでそうされたのと同じように、おへその上あたりまでブラウスのボタンを外したところで渡瀬くんがあたしから唇を離す。

だけどオフィスでの状況と違うのは、胸がはだけた無防備な姿を晒すあたしを見つめる渡瀬くんの眼差しがとても優しいということ。

その瞳を見ていたら、衝動的に渡瀬くんに触れたくなった。


「渡瀬く――……」

けれど伸ばした手は彼に届く前に空でつかまり、緩やかな力で耳の横に落とされた。

目的が叶わず、悔しさにほんの少し眉を寄せる。

渡瀬くんはそんなあたしを見下ろして悪戯っぽく微笑むと、開いた胸元にそっと唇を押し付けた。

すぐに触れた場所を強く吸い上げられて、思わず小さな声が出る。

そのあともときどき肌を吸い上げるようにして下へと落ちていく渡瀬くんの唇の動きに翻弄されて、あたしは何度も堪えきれない声を漏らした。


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