カノジョの彼の、冷めたキス
自分の口から溢れ出る声が気恥ずかしくて、顔を横にそむける。
そのとき、テーブルに置かれたまま忘れ去られていたペアカップが視界に飛び込んできた。
ふたつのカップが並んでこちらを見ているようで、あたしの意識が渡瀬くんから削がれる。
渡瀬くんと一緒にこのおしゃれなペアカップを選んでふたりで使っていたのであろう前の彼女も、この部屋でこんなふうに、渡瀬くんに触れられていたのかな……
想像した途端、渦巻く嫉妬で息が苦しくなった。
今ここにいるのも、渡瀬くんが触れているのもあたし。
だけど、渡瀬くんは本当にあたしを見ているのかな。
嫉妬と嫌な妄想が、あたしの胸を締め付ける。
「や、めて」
気付けけばそんな言葉とともに、覆い重なる渡瀬くんの胸を力いっぱい押し退けていた。
「斉木さん?」
あたしの胸を襲う嫉妬の塊に気付いていない渡瀬くんが、突然拒絶を示したあたしを驚いたように見つめる。