カノジョの彼の、冷めたキス


そこに、パソコンで打ち込まれたイベントの予定表とあたし達の移動スケジュールが細かく記されている。

ホテルの候補も、あたしが探し回らないでもいいように、会場から近い場所が既に2、3個ピックアップしてあった。

さすが渡瀬くん。

ここまで調べたなら、予約もやっちゃえばいいのに。

そう思いながら顔をあげたら、彼が鞄を持って立ち上がり、高垣さんのほうへと歩み寄って行った。

彼女のほうに身を屈めて何か話かせていた彼が、去り際にとても紳士的な表情でにこりと笑う。

遠目に見ていただけなのに、思わずドキリとした。

渡瀬くんの笑顔を間近で見ていた高垣さんも、ちょっと恥ずかしそうに頬を赤らめてる。

仕事上でコンビを組んでる高垣さんは、いつも渡瀬くんに優しい声で話しかけられて、綺麗な笑顔を向けてもらえているのかな。

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