カノジョの彼の、冷めたキス


「とりあえず、部屋行くぞ。俺は早く寝たい」

フロントのお姉さんからカードキーを預かった渡瀬くんが、顔を赤らめているあたしを怪訝な目で見下ろす。


「斉木さん、勝手に変な想像してんだろ?」

「へ、変な想像なんて……あたしは何もっ……」

声を詰まらせるあたしを見て、渡瀬くんがニヤリと笑った。


「残念。エロい想像してたなら悪いけど、ベッドは俺が使うから」

「え?」

「斉木さんは責任とって、床かソファーで寝ろよな」


あ、責任ってそういう……

渡瀬くんの言葉を勝手に深読みしてしまっていたあたしは、恥ずかしくてその場で消えてしまいたい気持ちになった。

そうだよね。

あたし達はただの同期なんだから、責任とれってその程度のことに決まってる。

変な想像してたことを見破られた上、今夜一日同じ部屋で過ごすなんて恥ずかしすぎる。


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