カノジョの彼の、冷めたキス


「や、やっぱりあたし、別のホテルに……」

渡瀬くんに背を向けてそそくさ逃げ出そうとしたら、大きな手でガッチリと手首をつかまれた。

思わずドキッとして振り返ると、渡瀬くんがニヤリと口元に笑みを浮かべる。


「経費削減。さっさと行くぞ」

意地悪くそう言ったかと思うと、あたしは渡瀬くんに引きずられるようにロビーの奥のエレベーターへと連れていかれた。


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