カノジョの彼の、冷めたキス




予約されていた部屋には壁にくっつけるようにダブルベッドが置かれている他に、窓際にひとりがけのソファーとガラステーブルが置いてあった。

部屋をひと通りぐるっと見回して考える。

ダブルベッド以外に寝られそうなのは、ベッドとそれに向かい合うようにして置かれているテレビ台との隙間にある床だ。

そんなに広くはないけれど、人が一人通るには十分なスペースがあるし、女のあたしだったら多分小さく寝返りくらいは打てる。

ダブルベッドに無駄にたくさん置いてある枕とシーツを一枚もらえば寝られそう。

今夜の過ごし方をシミュレーションしながら部屋の隅に荷物を置く。

既に荷物を置いてベッドの端に腰かけている渡瀬くんのほうを見る。

寛いでいるのかと思ったら、彼はいつのまにかカバンから取り出したパソコンを開いて何やら仕事を始めていた。

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