カノジョの彼の、冷めたキス
「何?風呂、入んねーの?」
「は、入ります!」
かーっと頬が熱くなるのがわかって、急いで渡瀬くんから顔をそらす。
カバンの中から着替えと洗顔用品が入ったポーチを取り出すと、逃げるようにバスルームに駆け込んだ。
開けられたり……なんてことはないと思うけど、ドキドキしながら念のために内側からバスルームのドアに鍵をかける。
ちらっとバスルームの鏡に映る自分の顔を見ると、耳まで真っ赤で何とも情けない表情をしていた。
自分のミスとはいえ、何なのこの状況。
これまで付き合った彼氏との旅行以上に緊張するんですけど……
ドキドキと鳴る鼓動を深呼吸で整えてから、ユニットバスのシャワーの蛇口を捻る。
温かいシャワーのお湯で頭から綺麗に汚れを洗い流すと、ようやく少し気持ちが落ち着いた。
髪も身体も丁寧に洗って、メイクも落とす。