カノジョの彼の、冷めたキス
「斉木さん、可愛い」
ボソッと低い声が聞こえたかと思うと、渡瀬くんがあたしの額に手を載せる。
触れた温度にドクンと胸を高鳴らせたとき、彼があたしの前髪をぐしゃりと撫でた。
「じゃー、俺も風呂入るわ」
そう言いながら、渡瀬くんが立ち上がる。
そうしてベッドのそばに戻ると、パソコンを片付けてバスルームへと行ってしまった。
渡瀬くんの姿が見えなくなってから、彼の手が触れた額に手を載せる。
何、今の。
何、今の……?
額には、まだ渡瀬くんに触れられた感覚が残っている。
それに、空耳でなければ何か聞こえた。
聞こえてきた渡瀬くんの言葉を頭の中でリフレインさせたら、また体温が急上昇して今度は目眩までしそうになった。
頬を火照らせながら、シーツの下に頭まで潜り込む。
そのとき同時に、もうひとつの事実を思い出してはっとした。
ていうか、浮かれて忘れてたけど……
すっぴん見られちゃったよ。