【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「……起き、上がれる?」
その言葉にうなずいて、腰をベットヘッドに預けるように起き上がれば。
「良かった。でも、待って。……ちょっと、失礼」
沙耶が近づいてきて、コツン、と額同士が重なる。
「……うん。熱はないね」
四つん這えの沙耶は、安堵する。
「……お前、無防備だな」
ブカブカの俺のパジャマ一枚で、体がすっぽりと収まっている沙耶は、大分、華奢な女だ。
「そう?」
男の前だというのに、平気でベットの上に乗り、キョトンとする彼女。
悪意も、なにも感じられない、屈託のない笑み。
「確かにあんたはスケコマシだけど、見てたら、寄るもの拒まず、去るもの追わず……じゃん?なら、別にあんたによっていっている訳じゃないし、いっかなって」
……要するに、男として見ていないと。
彼女の言葉は、たまにこうして心を痛ませる。
前世が見えるせいだろうか。
前世で愛し合った女の生まれ変わり(記憶なし)に、遠回りにあんたのことは興味がないと言われるなんて、なんて、世界は無情なのだろう。
……世界のせいではないと言われれば、それまでだが。
「それに、嫌がる相手には何にもしないでしょ?なんだかんだ言って、優しいところも紳士なところもあるじゃん?いや、ね?女遊びを紳士として受けて良いのかは、微妙なんだけど」
親友兼幼馴染みの柚香がいうには、沙耶の1番許せない行為は、強姦などの女が男に虐げられるものらしい。
同じ人間なのに…、そんな彼女の口癖。
だからか、女を認めない相馬の発言が気に入らなかったんだと思うと、あのパーティーのあとに、こっそり再び、謝ってきた柚香は、沙耶の最大の理解者であると思う。