【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
桜蘭は小さく頷く。
柘榴石の耳飾りが、開け放たれた格子の窓から差し込む夕日の明かりできらりと光った。
「……好きな人がいるんです。だから、嫁ぎたくなかった……」
涙ながらの告白は、俺の心を貫いた。
「…炎樹…っ!」
主の声が耳で響く。
下を向くと、なぜか水が手の甲に落ちた。
驚いたような顔でこちらを見る、仲間。
「ごめん……っ!もう、いい!だから!」
紅鈴が優しく抱き締めてくる。
温かい。これが、生きている人の証。
なのに。
「……っ!」
(ああ、そうか…)
自分は今、泣いているのだとわかった。
けれど、その涙が桜華の死を悲しんで流しているものなのか俺にはわからない。
信じたくないのに、
心は痛いのに、
わからないんだ。
――だって、人間の自分はとうの昔に死んでいるから。
「……俺は、どうして人間じゃないんだろうな」
滑稽に響く、自分の声。
「……ごめんなさい、炎樹……妾のせいよ!妾があんなこと言わなければ………!」
嘆く、桜蘭。
桜華の片割れ。