【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1



「……お前だけじゃないよ。俺も、いけないんだ」


泣き叫ぶ桜蘭を抱き締めたのは、紛れもない時を操る者。


「……貴方、なのね……桜蘭が愛したのは……」


朱鷺は、頷いた。


桜蘭を、腕に抱き締めて。


「桜華は、俺に言った。『私は好きで嫁ぐの。私が桜蘭に負けたくない一心で、炎樹から武術を習っていたように桜蘭も同じなこと、私、知ってるのよ』」


泣き虫でほっとけないと笑った桜蘭が大切にしていた妹は、朱鷺を見て、そう言ったのか。


あの、桜華が。


「『だから、桜蘭の為じゃない。私が桜蘭よりあとに嫁ぎたくないから、嫁ぐの』」


桜華が炎樹に武術の教えを請い、頑張っていたように、桜蘭も朱鷺に桜華ができることをできるようになるように努力していた。


「『…ただ、一つだけ。私が望んだものは手に入らないから、桜蘭に手に入れて欲しいのよ。お父様には、お願いしたわ。桜蘭が歩みたい道を歩ませてくださいって。だから、大丈夫よ。朱鷺。私のお姉様を…桜蘭をよろしくね』」


桜蘭が出来なかったことは、桜華がこなした。


桜華が出来なかったことは、桜蘭がこなした。


双子で一つだった。


「何よ…それ…あんたがいなくって、妾にどうしろって言うの…!?あんた、笑ってって、言ったじゃない!どっちが先に幸せになるか、勝負だって!幸せになったら、また会おうって!幸せになってねって!あんたが身を犠牲にしてまで、手にいれた幸せなんて、私からしたら幸せなんて呼ばないわ!馬鹿!桜華の馬鹿!」


床を泣きながら、拳で殴り付ける桜蘭。


「桜蘭…」


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