【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
「ねぇ、夏翠さん。私さ、一応、黒橋グループの娘なんだけど、こんな性格だから、さっきみたいに畏まらなくていいよ?」
その言葉に目を見開いた夏翠。
夏翠は基本的に人と馴れ合わない。
理由は様々だが、何より一番の理由は、馴れ合えば、失うものが多くなるから、である。
昔、友達をつくったら、その友達関係で誘拐され、自分の護衛だった飛鷹が怪我をしてから、それが、もう二度と嫌だと泣いて、友達を作らなくなった。
友達の代わりに、幼馴染みの私たちと過ごすことの多い夏翠に気軽に話しかける、沙耶。
「あ…」
夏翠は、とても明るい。
姫宮の娘でなかったら、クラスの中心にいるような人物だ。
「お前、黒橋グループの娘なんだな」
「意外?」
「まぁ…」
「あんたも大概に私からしたら、意外だけどね。その見た目で、"滅帝"って。そりゃ、モテるし、恐れられるわ」
"滅帝"を、あんた呼ばわり……
本当に物怖じいない沙耶は、にっこり笑って、薫にそう言った後、夏翠に手を差し出した。
「うちのお父さん、焔棠では情報屋してるみたいなんだよね」
「へ……?」