華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
4─虚偽─

甘く急転する主従関係


皆に一時の別れを告げ、動きやすく地味めのドレスに着替えさせてもらった私は、セイディーレと一緒に地下へ向かっていた。どうやら城門を通らずに外へと抜けられる隠し通路があるのだそう。

窓がなく、物音もしない地下の狭い廊下を歩き、突き当たりまでやってくると、セイディーレはなにもないただの壁に手を当てる。

すると、ギィィと軋む音と共に壁がドアのように開いた。


「すごい、全然わからなかった」

「お前の城にもあるだろ」

「ハーメイデンは本棚の後ろに隠してあるから」


とりとめのない話をして、なんとか緊張と不安を和らげようとする。そうしないと、この先の暗くてひんやりとしている不気味な通路をひとりでは歩けなさそうで。

セイディーレは、扉の外に山賊がいないかを確かめて、外から開けてくれるらしい。


「通路は一本道だから迷うことはない。扉にたどり着くまでひたすら歩け」


ランタンを受け取りながら、彼を見上げる。


「わかった。そこで待っていればいいのね?」

「あぁ。絶対に自分からは扉を開けるなよ」


こくこくと頷き、隠し扉を閉めたら一メートル先も見えなさそうな暗闇に目を向けた。

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