華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
さっき通ってきた商店が並ぶにぎやかな通りではなく、住宅が並ぶ閑静な道を走りながら、セイディーレが言い切った。
それを聞けば少しほっとするも、やっぱり安心はできない。
「私、厄介者よね。皆に迷惑かけてばかり……」
『城から出すべきではなかった』というお父様の言葉を思い返しながら、力なく自嘲した。
私が早く外へ出たいと願わなければ、こんなことにはならなかったかもしれない。今さら後悔しても遅いけれど。
「……自分ではどうしようもできないこともある。そういうことで自分を責める必要はない」
前から落ち着いた声が聞こえてきて、それが胸に染み渡る。
彼なりに私を慰めてくれているのだろう。その優しさにじんとして、「ありがとう」と呟き、温かな背中に頬を寄せた。
それから一時間ほど走っただろうか、追っ手が来ることもなく街を抜け、前方に水平線が広がってきた。
初めて見る雄大な景色に、思わず感嘆の声が漏れる。
「うわぁ、海……!」
「別荘はすぐそこだ」
セイディーレはそう言うと、馬車がすれ違えるくらいの幅がある橋の上でティルクを止め、私を下ろしてくれた。
それを聞けば少しほっとするも、やっぱり安心はできない。
「私、厄介者よね。皆に迷惑かけてばかり……」
『城から出すべきではなかった』というお父様の言葉を思い返しながら、力なく自嘲した。
私が早く外へ出たいと願わなければ、こんなことにはならなかったかもしれない。今さら後悔しても遅いけれど。
「……自分ではどうしようもできないこともある。そういうことで自分を責める必要はない」
前から落ち着いた声が聞こえてきて、それが胸に染み渡る。
彼なりに私を慰めてくれているのだろう。その優しさにじんとして、「ありがとう」と呟き、温かな背中に頬を寄せた。
それから一時間ほど走っただろうか、追っ手が来ることもなく街を抜け、前方に水平線が広がってきた。
初めて見る雄大な景色に、思わず感嘆の声が漏れる。
「うわぁ、海……!」
「別荘はすぐそこだ」
セイディーレはそう言うと、馬車がすれ違えるくらいの幅がある橋の上でティルクを止め、私を下ろしてくれた。