華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
ドレスの上からでもこんなに反応してしまう。これ以上のことをされたら、自分がどうなってしまうかわからない。

なにをされても構わないと思っていたくせに、一抹の不安が過ぎる。

片手で口を押さえて強く目を閉じていると、首筋に唇を這わせていたセイディーレが顔を上げ、私の頬にそっと手をあてる。


「キスだけにしてやるから、安心して眠れ」


私の不安を察知したのか、真綿のような優しい声とわずかな微笑みで、全身を温かく包み込んでくれた。

また私を思いやってくれる。いっそ乱暴にして、嫌いにさせてくれたらいいのにね。……なんて、なにをされても嫌いにはなれないか。

うまく回転しない頭でそんなふうに考えていると、セイディーレは私の隣に添い寝して、片手で抱き寄せてくれる。

彼の体温と匂いに安堵して、過敏だった身体も落ち着きを取り戻していく。

髪を撫でられ、労わるようなキスを繰り返されて、次第にぼうっとしてきた。とろんとしていた目は、瞼を開けていられなくなる。


「セイディ、レ……」


もう一度好きだと伝えたかったけれど、そこまでが限界。

子供みたいに寝かしつけられて、意識は深いところへどんどん落ちていく。


「大丈夫、俺がそばについている」


優しく囁かれたひとことに、なぜだか懐かしさのようなものを感じながら、私は意識を手放した。




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