華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
お互いの想いを隠したまま、それぞれが別のパートナーと生きていくのを見守ることになるのだ。

それで、本当に幸せになれるのだろうか。


セイディーレの声が頭の中で回り続ける中、アンジェたちにもう一度お礼を言い、ふたりに見送られながら裏口のドアに手をかけた。

慎重にゆっくり開けると、彼が言った通り焦げ茶色の馬を連れたセアリエが待っていてくれた。

私に気づいた彼は「姫様!」と小声で呼び、すぐさま駆け寄ってくる。


「私の馬に、早くお乗りください」

「セアリエ、どうしてここに?」


馬に跨がる彼に尋ねると、私の手を引っ張りながら答えてくれる。


「昼間、去り際に閣下から言われたのです。どこかで待機し、敵に見つかりにくい夜になったら姫様を迎えに来るようにと」


それを聞いて、セアリエが邸宅を出ていく直前に、ふたりがなにかを話していたのを思い出す。

あのとき、セイディーレがそんなことを言っていたとは。


「閣下は、『山賊にはエサをまいてある。姫が見つかるのは時間の問題でしょうが、やつらをおびき寄せ、私が一網打尽にしてやります』と、おっしゃっていました」


詳しく教えてくれるセアリエは、私が乗ったのを確認すると、さっそく馬を走らせ始めた。

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