華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「皆さん、ようこそおいでくださいました。久しぶりにリルーナ姫にもお会いすることができて、とても嬉しいですよ」

「ご無沙汰しております、陛下」


こちらに向き直って声をかけてくれる彼に、私も笑顔で挨拶をした。

陛下に会うのは今日が初めてではない。以前、国王夫妻がハーメイデンに来訪されたときに、少しだけ会ったことがある。

陛下は切れ者らしいけれど、とても優しく接してくれて、この人が父親だったらな……なんて、少し思ったりもした。お父様ごめんなさい。

心の中で密かに謝っていると、上からさらに誰かが下りてくる。

護衛を引き連れてやってくるのは、シックな紺色のドレスに身を包み、ダークブラウンの長い髪をアップで纏めた美しい女性、アリーデル殿下。彼女は陛下の奥様だ。

明るくて親切なアリーデル殿下もとても素敵な方で、お会いできて嬉しいのだけど……。

彼女の斜め後ろについている人物に、私の目は釘づけになってしまった。殿下が私たちにしてくれる挨拶も耳に入らない。

だって、会いたかった人がそこにいるから。

黒い軍服と制帽にワインレッドのサーコート、クールな印象を与えるシャープな顎に薄めの唇。そして、綺麗なエメラルドグリーンの瞳が私を捉えた。

< 82 / 259 >

この作品をシェア

pagetop