アフタースクールラヴストーリー
「どうだい最近、勉強は順調?」
二人で帰る時の会話は、本当に他愛のない内容だ。
この日は久しぶりということもあって、僕は呉葉に受験勉強の調子を尋ねた。
「まあまあですね。一応センターはある程度点数が取れたので、二次で大コケしなければ大丈夫かなって感じです」
呉葉は普段通りの口調で話す。
受験勉強のプレッシャーもあるだろうが、とりあえず元気そうだ。
「そっか。なら良かった」
「はい。先生も教採受かったんですよね。おめでとうございます」
「ありがとう。晴れて来年度から正規だよ」
「そうですか……」
嬉しい話題のはずなのに、呉葉の声はどこか残念がっているように聞こえる。
「じゃあ久田先生は、私達の卒業と同時にこの学校からいなくなるんですね」
「そうだね。お世話になった学校を離れるのは寂しいけど、仕方ないかな」
僕は軽く笑みを浮かべて言う。
すると呉葉が僕の前に出て、こちらを向いて立ち止まる。
それに呼応して僕も自転車を止めた。
「どうした?」
「先生とこうやって帰ることもなくなるんですよね……」
呉葉の目つきが変わる。
「本当にどうしたんだ。急に真面目な顔をして」
「好きです……」
「え?」
「先生のことが、好きなんです!」