アフタースクールラヴストーリー
朝、私が起きると既にお父さんは家を出ていた。
昨日のことを考えると起き上がるのが辛かったが、お父さんとの関係は今に始まったわけではないし、優君とも仲直りしなければならない。
「よし」
私は自分を励ますために気合を入れ、ベッドから出る。
そして朝の支度を済ませ、学校に向かった。
教室に入ると、私はすぐに優君の姿を見つける。
優君は何事もなかったかのように、仲良しの横山君と私に席の近くで話している。
いつもなら元気良く挨拶するところだが、昨日の出来事が頭をよぎり体が動かない。
なるべく早く関係を修復したい。
けれども今は、自分の気持ちをコントロールできそうにないので、話すのは避けたい。
私は優君に気付かれないよう、忍び足で自分の席に近づく。
「あ、美奈ちゃん、おはよう」
横山君に見つかってしまった。
彼が挨拶したのを見て、優君もこちらに気付く。
「お、おはよう……」
私は横山君に挨拶を返すと、横目で優君の方を見た。
ちょうど優君と目が合ってしまい、二人とも咄嗟に目を逸らす。
教室に入る時は普段通りに見えたが、向こうも昨日のことを気にしている様子だ。
横山君は二人の間に流れる気まずい雰囲気を察したようで、不思議そうな表情を浮かべている。
逸らした私の目線の先には偶然、登校して来たばかりのちひろの姿があった。
「あ、私ちひろに話したいことがあるから、行ってくるね」
私は二人にそう言って、急いでここから離れようとする。
「あ、おい」
優君の言葉は聞こえなかったふりをして、私はちひろの元へ駆け寄る。
「お、おはようちひろ。ちょっといい?」
仰々しい声でちひろに話しかける私。
「な、何よ朝からいきなり」
「ここじゃなんだから、廊下で話そ」
ちひろの腕を掴み、強引に教室の外へ連れ出す。
それを見ていた優君は口元をひきつらせ、小さく舌打ちをする。
「あらら……」
隣にいた横山君は、両手を広げていた。