アフタースクールラヴストーリー

四限目が終わると、私とちひろは中庭に移動し、ベンチでお弁当を食べていた。

「藤澤とケンカしたってどういうことなの?」
「昨日一緒に帰っている時に、ちょっと嫌なこと言われちゃって……。それに私が強く言い返して、辛くなってそのまま逃げてきちゃったの」
「嫌なこと? 藤澤のことだから、美奈の悪口を言ったわけじゃないでしょ?」
「うん。実はそのことについてもなんだけど……」

私はちひろに、自分の現状について話した。

久田先生を好きになったこと、それについての悩んでいること、加えて優君との昨日の出来事。

「えっ、美奈、久田先生のこと好きになっちゃったの⁉」

私の話を聞き、ちひろは驚きの声を上げる。

「ちょ、ちょっとちひろ、大きな声出さないで」
「あ、ごめんごめん。い、いつから?」
「自分の気持ちに気付いたのは、球技大会の日。あの日私が倒れたのは知っていると思うけど、私が保健室で寝ている時に久田先生が来てくれたの。そこで話している中で、先生のことが好きだって分かったの」 
「ああ、あの日か。ん? そういえば美奈、一か月くらい前に気になる人がいるって言っていたよね。あれって……」
「そう、久田先生のこと」
「ははあ。つまり好きになったのは最近だけど、前々から気にはなっていたってことか。」

ちひろは食べるのを止め、一旦状況を整理する。

「それで昨日、美奈のしてることがおかしいっていう藤澤の一言がきっかけで、口論になったと」
「うん……」

ちひろは軽く額にしわを寄せ、口をへの字に曲げる。

「藤澤とは仲直りしたいんだよね?」
「うん。だけど優君とケンカなんて初めてだから、どうすればいいのか分からない……」

しょげた顔で言う私。

「美奈はどう思うの?」
「え?」
「美奈はさ、久田先生が好きだっていう気持ちに関して、自分でどう思ってるの?」

私の目を真っ直ぐ見て、聞いてくるちひろ。

「私は……」

ちひろには、きちんと私の考えを話そう。
私の答えに対して、きっと彼女は真剣に考えて、ヒントをくれる。

恐る恐る、言葉に詰まりながらも、私は自分の思っていることはちひろに伝える。

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