副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「じゃあ、次はケーキを買いに来よう」

 次、という言葉がどこか照れ臭くて、私は「はい」と控えめに返事をした。

 こんなに甘やかされてしまって、私は一体彼になにかしてあげられているのだろうか? まだ仕事でだってろくに役に立てていないというのに……。

 思わずため息をつくと、彼は視線だけをこちらに流した。

「着くまで少しかかるから、疲れたら眠ってていいよ」

「いえ、大丈夫です! 全然疲れてません」

 無駄に背筋を伸ばして答えると、彼は笑みを堪えるようにゆるりと口角を上げる。

「そう。じゃあ、せっかくだから話そうか。明日奈は、俺になにか聞きたいことある?」

「き、聞きたいことですか……?」

 予想もしていなかった返答が返ってきて、目を瞬かせた。

 でも、いい機会かもしれない。だって彼には聞きたいことがたくさんある。

 見上げると、彼は「なんでもどうぞ」と余裕の笑みを浮かべていた。

 私は軽く深呼吸をして、意を決して口を開く。
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