副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「ち、千秋さんは、おいくつですか?」

 もっと他に聞きたいことがあったはずなのに、口をついて出たのは、まるでお見合いの一言目のような質問だった。

 ……なに言ってるんだろう私。でも、副社長って一体何歳なんだろうとは、ずっと気になっていた。確か前に田代社長と話していたときに、三十は回ってるって言っていたけれど……。

「今、三十四」

 三十四歳。私より、八個も上なんだ。でもこの若さで大企業の副社長なんて、やっぱり若すぎるぐらいだよね。

 会社にいるときは立場もあり落ち着いているせいか、年齢よりももう少しだけ上に見えるけれど、今日みたいに髪を下ろしている日は、むしろ年齢よりも断然若く見える。

 改めて観察していると、ちょうど信号待ちをになった彼がこちらを向いて、突然視線がぶつかった。

 慌てて顔を前へと戻すけれど、すぐにクスリと笑みを零す声が聞こえる。

「聞きたいのは、年齢だけ?」

 すると彼は、ハンドルに突っ伏しながら私を覗き込んだ。
< 122 / 196 >

この作品をシェア

pagetop