副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「ここ、ですか?」

 海からどれくらい走ったのだろうか。

 海沿いから山を抜けて街中を走った車は、駐車場らしき場所に停まった。

「そう。行こうか」

 シートベルトを外した彼は、車から降りて凝り固まった身体を伸ばしている。私も外へ出ると、辺りを見渡しながらまずは新鮮な空気を吸い込んだ。

 車がたくさん停まってる。広い駐車場だな。何の場所だろう。

 見渡すけれど、人が多く行き交う大きな駅の近くだということしかわからなくて私は小首を傾げた。

「明日奈、こっち」

 手を取られて、私はやはり胸を高鳴らせる。

 手を引かれるがまま足を進めると、すぐに見えてきた大きな真っ白の建物の前で彼は足を止めた。

 ここって確か、イベントなんかに使われるホールだよね?

 よく見ると、ホールの中にはたくさんの人が見えた。

 彼はガラスのドアを押し開けると、すぐに待ち構えているカウンターの中にいた係員さんに、取り出したチケットのようなものを二枚差し出す。

 そして代わりに受け取ったパンフレットを持って、薄暗い奥へと進んだ。
< 124 / 196 >

この作品をシェア

pagetop