副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
入ってきたのは、秘書室の女性たちだった。
化粧直しか、小さめのポーチを持ってやって来た彼女たちは手洗い場の前に立つ私を見つけて、楽しげに弾ませていた会話を止める。
私が「お疲れ様です」と軽く会釈をしてから手を洗い出すと、彼女たちは再び話を続けた。
「ねぇ。そういえば私、さっき社長室の前で美穂子さんを見かけたの」
先ほどまでと口調が変わり、いやに強調した言い方をする一人の女性。
ピクリと反応した私を見て、鏡越しに映る彼女は嘲笑うような笑みを浮かべて言葉を続けた。
「五年前もたまに副社長に会いにいらっしゃってたけど、彼がアメリカから帰っても変わらずということは、二人の結婚もいよいよかしら。副社長のお父様である社長にわざわざ会いにいらしてるのが、その証拠よね」
洗い終えた手をハンカチで拭うと、彼女は鏡越しに私を鋭い視線で見据える。
いつもなら萎縮していたところだけれど、今はただ彼女の言葉が胸に積もっていくだけで、私は見つめ合うようにその視線を逸らさなかった。
化粧直しか、小さめのポーチを持ってやって来た彼女たちは手洗い場の前に立つ私を見つけて、楽しげに弾ませていた会話を止める。
私が「お疲れ様です」と軽く会釈をしてから手を洗い出すと、彼女たちは再び話を続けた。
「ねぇ。そういえば私、さっき社長室の前で美穂子さんを見かけたの」
先ほどまでと口調が変わり、いやに強調した言い方をする一人の女性。
ピクリと反応した私を見て、鏡越しに映る彼女は嘲笑うような笑みを浮かべて言葉を続けた。
「五年前もたまに副社長に会いにいらっしゃってたけど、彼がアメリカから帰っても変わらずということは、二人の結婚もいよいよかしら。副社長のお父様である社長にわざわざ会いにいらしてるのが、その証拠よね」
洗い終えた手をハンカチで拭うと、彼女は鏡越しに私を鋭い視線で見据える。
いつもなら萎縮していたところだけれど、今はただ彼女の言葉が胸に積もっていくだけで、私は見つめ合うようにその視線を逸らさなかった。