副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「そのときはわけもわからなくてなんの話だと思ってたけど、あとからわかった。俺たちは、最初から親に仕組まれて〝幼なじみ〟にされてたんだ。おかしいだろ?」

 自傷気味に笑みを零す彼に、私はそっと私の肩にかかる彼の髪を撫でる。

 どうしてだろう。そうしなければ、彼が消えてしまうような気がした。

「そのときから俺は自分で少しずつ作り上げていると思っていた人生がわからなくなって、こうして仕事をしているのも、次第になんのためなのかわからなくなっていた。……そんなときだった。明日奈、君に出会ったのは」

 頭を上げた彼は、慈しむような瞳をこちらに向ける。

 ジン、と胸に温かな波が広がって、私は堪らず唇を噛み締めた。

「グループをより良くするためにと海外行きを決めた日、やはり俺は自分で決めたはずの未来に違和感を感じて、思い悩んでいたんだ。そして用があってビルから出ると、そこでは一人の就活生が緊張して震え上がっていた」

 当時を思い返したのか、小さく噴き出すように笑う彼は、私を見て優しく顔を綻ばせる。

 まさか、その就活生って……!
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