副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
 私は初めて、人前で子供のように顔を歪ませて泣いた。

 羞恥心よりも、今は幸福感が心を満たしていて、この感涙は止められそうにない。

 優しく抱き締められて、広い彼の背中に手を回すと、表現出来ない愛おしさを覚えた。

 ……彼が好きで、好きで、どうしようもない。

「明日奈、返事は?」

 耳元で囁かれて、呼吸すらままならない私は何度も首を縦に振った。

 わかりきったことを聞く彼は、きっとイタズラっ子のように歯を見せて笑っているのだと思う。

「……言って。君の言葉で、聞きたいんだ」

 頭を支えられて、彼は無遠慮に私の顔を覗き込んだ。

 ひどい顔を見られたくなくて両手で顔を覆うけれど、彼はもう片方の手でそれをこじ開ける。

 目の前にあったのは、やはりイタズラっ子のような表情。悔しくて、思わず私は唇を尖らせた。

「明日奈」

 待ちきれないと急かされて、私は飛び込むように彼の首元にしがみつく。

「……ち、千秋さん。好きです。大好きです。ずっと、……そばにいさせてください」

 顔を見られたくなくて、絶対に引き剥がされないようにと精一杯腕に力を込めた。
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