副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
* * *

「これを……着ていくんですか?」

 この質問をするのは、何度目だろう。

 私は全身鏡に映る自分の姿を見ながら、Aラインのロングドレスの裾を持って何度も目を瞬かせた。

「誰が用意したと思ってるの。完璧だよ!」

 そう言ったのは副社長ではなく、満面の笑みを浮かべてこちらを見つめる三浦さん。

 その様子を少し後ろから見つめていた副社長は、不服そうに腕を組んで眉根を寄せていた。

 ……完全に、ご機嫌ななめの様子だ。

 ――今日は、当初副社長と三ヶ月後の期限に設定していた、あのパーティの日。

 知らぬ間に当然のように出席することになっていて、なぜか当日の今、私は会場のホテルの一室でドレスを着ている。

 それは、三浦さんが用意した濃紺のロングドレス。ホルターネックで胸元はレースになっているそれは露出度が高めで、とてもじゃないけれど恥ずかしくてこれで人前に出るなど考えられなかった。

 これでパーティに出るなんて、考えただけでも身が縮む!
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