副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない


「明日奈! 大丈夫!?」

 とてもヒールとは思えない軽快な足音がして視線を流すと、そこには心配そうな表情を浮かべこちらに向かう真希の姿があった。

 私も慌てて駆け寄ると、彼女の少し後ろには先ほどの男性の姿もある。

 本当に戻ってきた……。

「明日奈、ごめん。あんた本当に仕事以外で全く男の人に関わりたがらないから、たまにはこういう場でもって思って連れてきたつもりだったんだけど、悪いことしちゃったわね」

「もう! 飲み会だったら飲み会って、最初に言ってよ」

 今日ここへ来たときはどうしてくれようかと思っていたけれど、顔の前で手を合わせ何度も謝る彼女を見て、その怒りは簡単に吹っ飛んでしまったのだから私も相当単純だと思う。

 しかし心配してこうして廊下まで出てきてくれたのだから、今回は素直に許してあげることにした。

「本当にごめん! あと、服は大丈夫だったの? もう帰ろっか。今日はお詫びに、タクシーで家まで送らせていただきます」

「あ、服はね――」

 大丈夫なの、と言おうとしたけれど、その言葉が口から出る前に、ふわりと伸びてきた長い腕が私の肩を抱き寄せた。
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