副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「俺が汚したんで、送らせてください。それに、始まったばっかりで女性が二人も抜けたら困るでしょうから」

 淡い声とともにすぐにじわりと右半身に伝わる熱に、私は全身を氷のように硬直させられる。

 真希も一瞬驚いたように口を結んでいたけれど、その口角はすぐに怪しく上げられた。

 な、なんか、とてつもなく嫌な予感がする。

「いいんですか? お願いしても」

「もちろんです」

 そしてその予感は、残念ながらすぐに的中していたと知らされた。

 真希ってば、絶対におもしろがってる! さっき何度も謝ってた姿は、一体どこに行ったのよ!

 すぐにでも口を割って入りたいところだったけれど、包まれるように寄り添う熱のせいで、今はなんとか呼吸をするだけで精一杯。

「これ、この子のカバンです。じゃあすみませんが、よろしくお願いしますね」

 私の荷物をさっさと預けた彼女は、軽い足取りで部屋へと戻っていってしまった。

 う、嘘でしょ!? 私、これからどうすれば……。
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