副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
 肩に乗った大きな手が視界の端に映り、それを辿るように恐る恐る上を見上げた。

 すると長い前髪の隙間から覗く、くっきりとした二重の目が私を捉える。

 初めて絡み合った視線に、思わずドキッと肩を跳ねさせた。

「あぁ、ごめん。そっか、目が見えないと怖いな」

 独り言のように小さく呟いた彼は、目元を覆っていた艶やかな黒髪を掬(すく)い上げる。

 ようやく現れた顔に、私は目を丸くさせたままその場に立ち尽くした。

 先ほど少し見えた二重の目尻は少し垂れていて、鼻はスッと筋の通った鷲鼻。肌は透き通るように白く、青味がかった綺麗な黒髪をより美しく際立たせていた。

 まるで、絵画の中から飛び出してきた人みたい……。

「これで怖くない?」

 小首を傾げた彼を見て、自分が食い入るように見つめていたことにようやく気付いた私は、慌てて顔ごと視線を逸らした。
< 24 / 196 >

この作品をシェア

pagetop