副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
 お昼には社内連絡のメールで辞令が出されたようで、それを見た社員たちはまるで事件でも起きたかのように賑わっていた。

 社員たちはというより、主に女子社員がメインだけれど。

 これは、すっかり承諾したことになってるっていうことだよね? しかし、辞令を拒否することがどういうことかというのも十分わかっている。……会社員の悲しい性だ。

「ちょっと明日奈! あれ、どういうこと!?」

 マーケティング部の二畳ほどしかない給湯室で隠れるようにサンドイッチを食べていた私は、勢い良く飛び込んできた真希を見て思わず喉を詰める。

 慌てて淹れてあったコーヒーでそれを流し込むと、彼女は朝よりも何倍も興奮した様子で私の両肩を掴んだ。

 先ほどからみんなの視線が刺さりお昼どころではないので隠れていたのに、どうしてここがわかったんだろう……。まさか、私にGPSでもつけてるの?

「私が聞きたいよぉ。もうなにがなんだか……」

「いきなりマーケから副社長の秘書って! しかも来週? ていうより副社長に会ったのよね!? どうだった!?」

 どこから手をつけたらいいのかもわからなくなるほどの質問攻めに、また喉が詰まりそうだ。
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