副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「どうにか断る方法ないのかな? 私、秘書なんて自信ないよ」

「難しいだろうね……。明らかに不当な部署への異動とかならまだしも、誰が見てもミラクル昇進ものだもん。会社的にも、適材適所への人材配置だとか、人材教育だとか言われたら終わりでしょ」

 彼女の話を聞いて、深いため息が漏れた。

「それに、みんな副社長が来週から戻ってくることがわかっただけでも大騒ぎだったのに、同時にあの辞令でしょ? 女子トイレはあんたの噂で持ちきりよ!」

 サンドイッチを持ったまま項垂れていく私を見て、豪快に笑う彼女。

「部長も、オフィスに戻るや否や鼻高々に朝の状況を話してくれちゃって……。私はすっかり見世物状態よ」

 牧田さんも、『先輩ずるいですぅ!』なんて目を輝かせながら大騒ぎしていた。

 それならぜひ代わってほしいなどと口に出すわけにもいかず、おまけに今日中に進めなければいけなかった仕事にも全然集中出来ない。
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