副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「はい、どうぞ」

 扉の向こうから声が返ってきて中に副社長がいるのがわかると、思わず尻込みしてしまう。

 ダメだ。よし、一気に行こう!

「失礼します、望月です。本日からよろしくお願い致します」

 思い切って扉を開けると、深々と頭を下げた。

「おはよう」

 広い部屋に、低い声が静かに響く。

 ゆっくりと顔を上げると、彼は部屋の奥にある扉と向かい合う形で置かれた自身の机に向かっていたようで、その場に立ち上がり私を見つめていた。

 掛けていた眼鏡をそっと机の上に置くと、彼はこちらに足を進める。

「入って。簡単に仕事を説明するから」

「は、はい……!」

 仕事中は眼鏡掛けてるんだ……。また雰囲気が違って見えるから、一瞬驚いてしまった。
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