副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
 副社長が取り出したカードキーを翳(かざ)すと、エントランスホールに続くドアが開いた。

 鍵を持っていたってことはここは副社長の家? 恐らくマンションのようだけど、その中はまるで外観と同じく高級ホテルのロビーだ。

 カーペットが敷かれたそこにはいくつものソファーが並んでおり、センスの良い調度品が惜しげも無く飾られている。

 薄暗い黄色のライトがそのラグジュアリー感を増していて、私は思わず心の中で、わぁ、と声を上げた。

 すると突然、フロントにいた女性から「お帰りなさいませ」と声を掛けられ、思わず跳ね上がるほど驚いてしまう。

 まさか、常に人がいるの!? こういうの前にテレビで見た気がする。えっと、なんていうんだったかな……。 

 眉根を寄せて考えていると、私の前を歩いていた男性が「ブハッ!」と大きく噴き出した。

 ……どうしたんだろう?

 しかし副社長はそんなこと気にしている様子もなくて、先ほどのカードキーを再び出てきたドアに翳すと、その向こうにはエレベーターホールが見えた。

 凄い。一体何枚ドアを潜れば部屋があるのかな?
< 65 / 196 >

この作品をシェア

pagetop