副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「ただいま」
リビングのドアが開く音がしてキッチンから顔を出すと、そこには先ほどは離れたばかりの副社長が立っていた。
「お、お疲れ様です。……おかえりなさい」
彼の元へと向かうと、なんとなく気恥ずかしくて目を瞬かせた。
すると彼は目尻を垂らして、そっと両手を広げる。
「どうしたんですか?」
その予期せぬ行動に、私は思わず小首を傾げた。
すると彼はふっと笑みを零し、次の瞬間、私を覆い隠すように抱き締める。
息もつけないほどに驚いた私は、我に返った途端、彼の大きな腕の中でじたばたと暴れた。
「副社長! は、離してください!」
「どうして?」
しかし彼は私の抵抗など痛くも痒くもないようで、とぼけたように答える。
また、楽しんでるんだ!
適度に鍛えられた厚い胸を数回叩くと、彼はようやく私を解放する。
すぐに目の前に飛び込んできた子供のようにあどけない笑顔を見て、私はグッと喉を詰まらせた。
なんて顔をして笑うんだろう……。そんな顔をされたら、不満も言えないじゃない。