初めてのズル休み


「……へぇ」


なぜか、意味深な表情で私をじろりと見て来る。


「じゃあ」


これ以上特に世間話をしなくてはいけない義理もない。
私はさっさと背を向け歩き出した。


「でも、そのゆかりの発言は、逆に自分を追い詰めているように聞こえたけど?」


どこか抑揚のない声が背後で放たれる。
最初、彼が何を言いたいのか理解できなかった。


「どういう意味?」


いい加減に解放してほしい。
そう思いながらもう一度振り返ってしまった。


「まだ、君は結婚していない。そんな自分を懸命に守っているように聞こえる」


どうして、そんなことを言われなければならないのだろう。
何を言っても、それはすべて強がりに聞こえてしまうのだろうか。
そう思ったら、何を言い返す気にもなれなかった。


「でも……。ゆかりを傷付けたのは、俺だから。本当に、申し訳なかったってずっと気にしてるんだ」

「そんなこと……」


罪悪感から楽になりたくてそんなことを言うの?
それとも、自分がこの女を捨てたとのだという優越感?


さっきまでの心の落ち着きが呆気なく崩された。


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