fantasista 2
柊と一緒に実家へ行く。
あたしの実家は古びた賃貸アパートだ。
その前に停めた白色のアウディは酷く浮いて見えた。
「引くでしょ?
あんたの実家、豪邸だから」
ぽつりと呟くあたしに、
「引かねぇよ。
実家が豪邸とか、関係ねぇよ」
柊は言う。
そしておもむろにあたしの手を握りしめる。
強く、優しく。
「大丈夫だ。行くぞ」
柊に引っ張られ、古びた階段を軋ませながら上った。
そして……
「小川」そう表札の出た部屋のインターホンを、震える手で押していた。